なぜ「この木どこの木?」と発信することが、途上国の違法伐採を止め、日本の森を活かすことにつながるのでしょう?
海外で、違法もしくは合法でも環境配慮の不十分な木材は、住民への補償など必要なコストを払っていないため、不当に安く輸入されてきました。その木材と競争しなくてはならないため、日本の木材の価格も安く抑えられる傾向にありました。一方、欧米の林業先進国は、森林データベースを基にした効率的な施業や、マーケットのニーズに応じた質の高い木材(乾燥・寸法精度・供給体制など)を安く生産する技術により、円高という背景も手伝って、日本市場に深く浸透してきました。この二つの要因により、木材の市場価格は著しく低下し、それまで投じて来た植林・育林コストを到底賄いきれない状態となりました。林業は中山間地域を支える基幹産業であっただけでなく、防災や水源涵養の視点からもただ放置するわけにはいかず、国や自治体は多くの補助金を出して、間伐を推奨し、公共建築物への国産材利用を義務化するなどのテコ入れをしてきました。それは一定の効果を上げてはいますが、日本の林業の小規模・分散・地域性の壁を越えられず、山を手入れするための十分なお金が残らない状況が続いています。産業全体として突出して高い労災発生率、にも拘わらず安い賃金、再造林を阻む獣害の拡大など、林業再生には多くの課題が山積しています。それでも、補助金漬けで産業として未熟な体質を何とか変えようと、挑戦する人々、新しい試みも各地で増えてきています。(日本の森を活かす ページをご覧ください)
途上国のグレーな(合法でも環境配慮の不十分な)木材輸入にノーと言うこと、そして日本の各地で生まれつつある、情報産業としての林業を支援すること、その二つに必要な概念「木材トレーサビリティ」をわかりすく表現する言葉として、私達は「この木どこの木?」と問いかけようとしています。
今、ドローンやGISなどの技術の普及により、山にどんな木がどれだけあるかという森林データベースの作成や、いつどこで誰が伐ったかといった情報を最終製品まで保持できる流通管理システムも開発されています。けれど、どこで誰が伐ったのかわかる木材製品を作っても、それに価値を見出す人がいなければ、相応の値段で売ることはできないのです。
これを解決する方法があります。それは、私達消費者が、
「この木はどこから来たの?」と関心を持つことです。
想像してみて下さい。野菜や水産物と同じように、いつどこで育ち、誰が伐り、誰が加工したのか、顔が見える木材製品があったら良いと思いませんか?
実は既に実現しているものもあります。
私達が伐りました!(株式会社ソマウッド) 静岡県営草薙球場外野席
ここのキャンペーンは完全なボランティアで、このホームページに掲載した企業からも、他のどこからも、全く援助を受けていません。だからこそ、多くの人の共感や協力を得られると信じて実施しています。
多くの日本人は、日本に海外から合法性に疑いのある木材が輸入され、現地の人々を苦しめていると聞けば心を痛めますが、それを改善する方法がわからなければ何もできません。
木がどこから来たのか気にすること、実際に聞いてみること、それは街角の募金箱にコインを入れるのと同じように、やろうと思えば実行可能な行動です。多くの人がそれをすることで、木材流通の改革が進み、海外の森を守ることにもつながると信じています。
但し、すぐにできるものだとは思わないでください。既存の産業が変わっていくには、粘り強い変革の担い手が必要です。私達にできる事は、それに関わっている挑戦者達の背中を押し、応援し、購入という形で成果を後押しすることです。継続して見守り続けていきましょう。ここをクリックして「テキストを編集」を選択して編集してください。